ネットワーク設計でVLANを切る際、「どの番号を使っていいのか」「Cisco以外のスイッチと混在して大丈夫か」で迷うことがあります。
本記事では、VLAN ID(VLAN番号)の利用範囲、他社スイッチでの互換性、そして設計時の番号の決め方を整理します。
1. VLAN番号の全体像
IEEE 802.1Q標準規格により、利用できるVLAN IDは1〜4094と定められています。この範囲は大きく4つに分類されます。
VLAN 1:デフォルトVLAN(端末用としては利用非推奨)
初期状態で全ポートが所属するVLANです。制御フレームの送信などに使われるため、セキュリティ上の理由から一般端末用には使わず、トランクポートからも外すことが推奨されます。
VLAN 2〜1001:標準VLAN(Normal-Range) — 自由に使用可能
社内LANやサーバー用などで最もよく使われる範囲です。設定はスイッチ内部のVLANデータベース(vlan.dat)に保存されます。
VLAN 1002〜1005:予約済みVLAN — 使用不可
FDDIやToken Ringといった古いネットワーク規格用にシステムが予約しており、削除や変更はできません。
VLAN 1006〜4094:拡張VLAN(Extended-Range) — 自由に使用可能
大規模環境やプロバイダ向けで利用されます。Cisco機器では、VTP(VLAN情報をスイッチ間で同期するCisco独自のプロトコル)のバージョン(v1/v2)によって、作成時にTransparentモードが必須になるなどの制限がつきます。
2. 拡張VLAN(1006〜4094)は他社スイッチで使えないのか
結論から言うと、他社スイッチでも問題なく使用できます。
「拡張VLAN」という名称や作成時の制限(VTPのバージョン制限など)は、あくまでCisco独自の管理プロトコルであるVTPの仕様によるものです。
一方、フレームに付与されるVLANタグ自体は業界標準規格であるIEEE 802.1Qに準拠しています。そのため、Juniper、Arista、ヤマハ(RTXシリーズ)といった他社製スイッチ・ルーターと接続する場合でも、1006〜4094のVLAN IDを問題なく識別・通信できます。
3. VLAN番号を決める際の設計ポイント
VLAN IDを割り当てる際は、以下のルールを意識すると運用・保守が楽になります。
① VLAN 1は一般データ用に使わない
管理用通信や初期状態のVLANとして特別な意味を持つため、ユーザー端末やサーバー用にはVLAN 10以降の番号を使用するのがベストプラクティスです。
② IPサブネットの第3オクテットとVLAN IDを揃える
IPアドレス帯とVLAN IDをリンクさせておくと、障害切り分けやコンフィグ確認が格段に楽になります。
- 管理セグメント
192.168.31.0/24→ VLAN 31 - 営業部ユーザー
192.168.101.0/24→ VLAN 101 - 開発部ユーザー
192.168.102.0/24→ VLAN 102
IPアドレスを見た瞬間にVLAN IDが分かるため、パケットキャプチャやログ調査の際に「このIPはどのVLANか」を調べ直す手間がなくなります。
③ 用途・拠点ごとに番号ブロックを分ける
番号帯にあらかじめ意味を持たせておくと、拡張時に悩まずに済みます。
- 10〜99:インフラ・管理用(スイッチ管理用、Voice用など)
- 100〜199:1階/本社のユーザー端末用
- 200〜299:2階/支社のユーザー端末用
- 900〜:ゲストWi-Fi用、臨時・テスト用
まとめ
- 使えるVLAN IDは1〜4094。うち1002〜1005は予約済みで使用不可
- VLAN 1は一般端末用には使わず、10以降を割り当てるのが定石
- 拡張VLAN(1006〜4094)の制限はCisco独自のVTP仕様によるもので、タグ自体はIEEE 802.1Q準拠のため他社機器とも問題なく相互接続できる
- IPサブネットとVLAN IDを揃え、用途ごとに番号ブロックを決めておくと運用が楽になる
VLAN設計は一度決めると後から変更しづらい部分です。拠点やセグメントが増えることを見越して、最初に番号体系のルールを決めておきましょう。